大阪府公立高校入試合格への道

現役学習塾長が大阪府公立高校入試や教育について、いろいろ発信します。

海外に学ぶ ~スウェーデン~

今日は気になったお話から。
教育の話をするうえで重要な視点となるのが、他国との違い。
ここは気になっているようでなかなか調べる機会がありません。
というわけで、世界有数の学力レベルを誇るスウェーデンについて調べてみました。


基本的な教育の流れ

教育制度は、基礎学校と呼ばれるものが9年で、高校3年、大学3年となっています。
義務教育は6・7~16歳の9年間、基礎学校で行われます。
また、日本の幼稚園や保育園にあたるプレスクールも文部省管轄で運営されており、
日本より早い段階で教育の基盤を整えている印象があります。

内容の特徴

自立学習が基本

グループや自分一人で学習をさせることに重きを置いているようです。
大学受験生や一部の高校受験生も気づいているとは思いますが、
結局は最強の勉強方法は『教えられる』ではなく『自ら学ぶ』なのです。
その点については後述します。
スウェーデンでは学ぶ機会を均等に与え、1歳から死ぬまで学び続けられる環境を整えるということを大切にしているようです。
自由に発想し、学びたいときに好きなだけ学べる。
そんな環境を国が用意してくれたとしたら、国民が皆大いに学ぶことは想像に難くありません。

小さい頃は通信簿がない

これは非常に良い試みだと感じます。
小学6年生まで成績で他人と比較されることがないわけですから、悠々と学ぶことができます。
individualismの象徴とも言える方針です。

学力面の問題点

かつては国別学力調査で上位に君臨していたスウェーデンですが、昨今は学力の低下がみられるようです。
1990年以降、競争原理を導入し、学校間格差を作ってしまったのが大きな問題であるようです。
つまり、地域によって教育の質に偏りが発生しているため、総合的な学力維持が望めなくなったと推測されます。

スウェーデンの特筆すべき特徴

若者の活動がすごい

若者の活動が非常に活発であるという点だと思います。
有名な話ではありますが、スウェーデンは若者の政治参加意欲が非常に高く、投票率も80%程度を常に維持しています。
その一つの理由として、若者の活動をサポートする政策を行う省庁があることでしょう。

育児休暇取得率がすごい

日本でも緩やかに広まりつつある男性の育児休暇取得ですが、
スウェーデンでは2000年以降、取得率の上昇が進み、男性も80%を超える取得率になっています。(男女差がそもそもない)
育児休暇をとらないと損をする仕組み作りや、自由な育児休暇の取得設定を可能にしている点が、育児休暇取得率の上昇をもたらしたようです。

男女間の差が小さい

国会議員にしろ、給与面にしろ、日本の真逆を行く国の一つといってもいいと思います。
とにかく女性も男性と同じように活躍し、フレキシブルに活動できる環境が整っているわけです。
今の日本人が移住したら、まちがいなく、いい意味でのカルチャーショックを受ける国だと思います。

スウェーデンの社会問題

スウェーデンの国家理念とは、男女平等・人権尊重・個性尊重です。
そしてそれは、自国以外のすべての人間にも適用する考えのようです。
古くからスウェーデンは移民を受け入れる姿勢をとってきているのですが、
2000年以降、アジア圏からの意味が急増。そのため、学力を含めたスウェーデンのあらゆるクオリティと財政が悪化しているそうなのです。
国家理念はとても素晴らしく、ぜひとも変わらないスウェーデンであってもらいたいと願うとともに、
困難にどう立ち向かうのかが気になります。

まとめ

学習の面では『自ら学ぶ』姿勢を国家レベル(地方自治体が教育を統治しているそうですが)で行えていることは、ぜひとも参考にしたいところです。
また、今の日本では解決できていない多くの問題を解決している点も、賞賛に値します。
おそらくですが、その根源は若者のエネルギーにあると思います。
スウェーデンの若者は、政府のスピードの遅さに辟易して、自ら動こうとするそうです。
日本ではどうでしょうか。
動く若者よりも、社会の問題を人ごとのように捉え、何か迷惑を被った時だけ声をあげ、それでも行動はしないのではないでしょうか。

比較をすると、国ではなく人の違いが感じられます。
スウェーデンも20世紀半ばは今のような環境は整っていませんでしたし、現在も問題を抱えています。
日本も見習って、いいところを参考にして未来に向けて成長をしていけたらと思います。