大阪府公立高校入試合格への道

現役学習塾長が大阪府公立高校入試や教育について、いろいろ発信します。

海外に学ぶ ~フィンランド~

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前回のスウェーデンに引き続き、世界幸福度ランキング常連国として名高いフィンランドを調べてみます。
学力調査でもトップレベルの成績であるフィンランド
フィンランド教育の特徴として有名なのは「大学までの教育費が無料」ということです。
そのほかにも、世界トップの学力を誇るフィンランド教育の秘密を徹底解説していきます

フィンランド教育概要

フィンランド教育の一番の理念は「誰にでも平等に教育の機会を与える」ということです。
もちろん日本でも同じ理念のもと教育体制が組まれていますが、フィンランドでは「平等」をより徹底しています。
フィンランドの義務教育は、日本とほぼ同じで、義務教育は7歳~15歳までの9年間であり、基礎学校初級、基礎学校中級と分けられています。
基礎学校初級前の1年間は、保育園か学校付属のプレスクールに通いますが、こちらも義務教育に入ります。
義務教育終了後は、高校や職業訓練校へ進学します。
その後は海外留学など自分のやりたいことをやった後で、大学や高等職業専門学校へ進学することが多く、同級生の年齢はまばらになっていくようです。

日本との大きな違い

大学まで無料で平等に教育が受けられる

フィンランドでは、大学までは学費がすべて無料です。
学校が家から遠い生徒や学生は、寮も無料で利用できます。
それに加えて義務教育の間は、給食費や教科書代、文房具代まですべてが無料になります。
フィンランドは、基礎的なことだけではなく、誰でも追及したい学びを平等に学べるシステムで、教師の質が高いのも特徴として挙げられます。
義務教育に学費を発生させることが違法のため、日本のような私立学校はありません。
そのため、親の経済力で学力格差がつくことがありません。
学校を選ぶことができない分、フィンランド教育では教師の質が求められています。
基礎学校の教師は教育学の修士号を、それ以上の学校の教師はそれぞれの専門科目の修士号を取得しているので、教師は信頼のおける職業として位置づけされています。
指導者の質が比較的高いという点でスウェーデンと似ていますね。スウェーデンは仕組みの崩壊を起こしかけていますが、フィンランドの今後はどうなるのか気になるところです。

留年は当たり前

フィンランドでは、留年が当たり前のこととしてみなされています。
義務教育である基礎学校でも、学力が足りていない場合は留年の措置が取られるという、日本人には少し違和感のある制度があります。
フィンランドの留年は、理解するまで学べる仕組みが整っており、落ちこぼれがでないような教育をするということが大前提なので、適切な学力の積み重ねが可能です。
その学年で身につけてほしい学力を身につけてから進級できるので、適切に学習の積み重ねをすることができます。
フィンランド人もわからないことがあるのなら留年するのは当然と思っており、留年をすることは恥ずかしいこととして捉えられてないのです。
日本ではよっぽどのことがない限り義務教育では進級ができますので、学力の低い上級生が生まれるわけです。

勉強=読むこと!読書の蓄積

フィンランド教育では、勉強=読むことと捉えられているようです。
フィンランドは、図書館の充実度でも有名な地域で、蔵書数はもちろん快適に利用できる環境作りが徹底されています。
子どもたちは、外で遊ぶか、図書館で本を読むか、というのが放課後の主な過ごし方だそうです。

テストは論文で時間は無制限!

学校のテストでは、日本のテストによくあるような穴埋め式ではなく、論文式だそうです。
ただし、感想文のような作文ではなく、起承転結を意識した構成となるような論理的な作文で、普段から学習しています。
論文では普段の学習で身につけた知識を整理し、自分の意見を書く力が求められますので、論理的思考が鍛えられるのです。
そして、驚きなのが、ほとんどのテストで時間が決められていないそうです。
じっくり考えて納得のいく作文を書くことができるのは、ぜひとも見習いたいルールですね。

フィンランドの教育の問題点

競争がない

フィンランドの教育では、大学までは受験がないため、子ども達に競争の意識が芽生えにくい問題があるそうです。
普段の学習意欲がないというわけではなく、むしろ塾がない分学校での授業は集中して受けるのが当たり前になっています。
しかし、ほとんどの子どもたちが今の自分の学力に満足しており、もっと学力をあげたいというような意識を持つ子どもは比較的少ないようです。
競争意識は、学習意欲の向上の良い動機付けになることもあるのは、日本教育の長所ともなっているのかもしれません。

英語は読み書き中心で行うため、運用力に難がある

フィンランドは教育では、英語の授業はすべて英語で行うそうです。
また、小学生の内から外国語として英語やフランス語などを学び、中学生からは第二外国語の選択をするそうです。
日本と比較するとフィンランドの子どもたちの英語力は格段に高く、大学生ともなると問題なく英語で意思疎通ができるレベルになります。
ただし、英語の授業でも、基本的にテストは論文です。
読む力や書く力はかなり伸びますが、フィンランド周辺の他国に比べると、その英語運用力はやや劣るように感じられるそうです。

校則やルールがない

あまり厳しい規則がないようです。
そのため、授業中のマナーなどは他国のものと異なる場合があるので、注意が必要になるかもしれません。

結局、問題点と呼べるほどの問題化といわれると、日本の教育の方が劣っているように感じられます。

まとめ

読書量が多かったり、論文式であったりする点は欧州にみられる特徴ですね。
また、フィンランドスウェーデン同様に平等主義に重きを置いている点は、見習いたいところです。
平等主義であるがゆえに、尖った才能を持つ子どもが埋もれてしまう可能性もあるようですが、
子どもの才能を引き出しきっている国があるかというと疑問ですので、特徴ではないかもしれませんね。

次回はアジアにフォーカスしたいと思います!