大阪府公立高校入試合格への道

現役学習塾長が大阪府公立高校入試や教育について、いろいろ発信します。

概念力を高めるということ

国語の指導をしていて思うことがあります。
それは、概念力の有無が国語の得点の最高到達点に影響するということ。

教科としての国語はいくつかの性質にわけることができます。
すなわち『読解速度』『概念力』『記述力』『語彙力』『文法力』あたりでしょうか。もっと細分化できそうですが。
読解速度は、時間当たりの文字を読むスピード。
概念力は、書いてある内容を自分の知識や常識に照会して理解する力。
記述力は、条件に合わせて内容や意見を言語化する力。
語彙力は、漢字や言葉の読み書き、意味の知識力。
文法力は、日本語という言語のルールを違和感なく捉える力。(一部適当です)
これはの力が集約して『国語力』になっているわけです。

一所懸命勉強をして、作業的に身につけることができるのは『読解速度』『語彙力』『文法力』あたりです。
『概念力』『記述力』については、センスというか、その人の人生がもとになる力なので、一朝一夕では身につかないように思います。

子ども達と話していてよく思うのは【勘がよくない子とそうでない子の違いはなんなのか】ということです。

いくらテストの得点がよくても、ピンとくるセンスがない子がいたり、
逆に、学校の成績が悪くてもユーモアがあり頭の回転が速い子がいたりします。

前者は、正直、将来を安心して見守っていられない節があります。
自分できりひらいていく力があるように思えないからです。
後者は、確かにさぼっている点は評価できませんが、何かに気づけば自ずと道を拓いていくように思えます。

このような子達の違いとして『概念力』の差があるように思います。
今までの人生で、あらゆることを捻って考えたり共通点を見つけたり、いわゆる【やわらかい頭】で捉えることが出来ていれば、
後者のような子どもになっていくのかもしれません。
早い段階で、やっていいこと悪いことを感じ取り、【やわらかくない頭】で世界を捉えてきたとすれば、
大人に怒られないいい子を演じることは上手かもしれませんが、
枠を外れた考え方はできませんし、自分に関係あるかどうかのフィルターで物を見てしまう癖がついてしまうのかもしれません。
つまり、余計なものに興味を持って生きてきたかどうかというところが『概念力』の差に繋がっているように思うのです。

なんとなくですが、概念力の強い子、弱い子は少し会話するとわかります。
イメージがリンクしていく子、いかない子。


得意分野ではそうではないのかもしれないので、やはり、【国語】という教科の話限定になりますが、
もしわが子が勘の悪い子だとして、どのように改善が図れるでしょうか。

それは、大人がよくお話をしてあげることだと考えています。

子ども達は、自分の興味のままに情報を取捨選択しています。
子どもの世界を生き抜くためには、子ども達に必要な知識を蓄えていく必要があり、
その中に【経済】も【環境問題】も【産業革命】も存在しないのです。

しかし、大人と会話する中で、そのような概念が出てきたとしたら、
「へぇ~、そんな話があるんだ」と理解してくれるかもしれません。
会話が終わった瞬間、子どもの頭から抜けてしまうかもしれませんが、それでいいのです。
記憶の定着には回数が重要です、無限に記憶できる脳みそに、新しいことをどれだけ再生させるかが重要なのです。

大人がよくお話をしてあげることで、意識的に、大人の世界の概念を子どもに与えてあげることができます。
そうすることで、子ども達の世界だけではなく、ゆっくりですが、大人の概念も吸収し、
そして、国語という教科で概念力を発揮することができるようになるのです。

これは、塾や学校で勉強したからといって急に伸びる力ではありません。

まさしく、その子が生きてきた人生がそのまま力となって現れるのです。
しかし、その力は意図的に鍛えることができる、というお話でした。


概念力が高い子は、わからない話が少ないので、他の力の強化もスムーズになります。
逆もしかりで、概念力が弱いと、国語だけではないいろいろな理解がゆるやかになります。

得点の最高到達点を上げるためには『完全』を目指す必要があります。
その『完全』を達成するにあたり、勘の良さというのはとても重要な要素となるわけです。