大学入試で現代文を使うなら哲学を学んでおこう
最近は高校入試の話から遠ざかり気味なのは、大学受験生の指導に力を割きがちだからである。
特に現代文については指導にコツがいるので、直接指導しているというわけだ。
現代文の対策の基本は、「語彙力強化」「読解練習」「概念の拡張」だ。(以前どこかの記事で書いたかも)
今回は「概念の拡張」について話しておきたい。
結局のところ、知らない話でも、その話に出てくる言葉の意味と論理さえつかめれば、解答を書くことくらいはできる。
しかし、自信をもって解答を作成したい場合は、やはり内容が自分の中で腑に落ちるような状態になれるといいだろう。
どうして入試の現代文で、わけのわからない話が多く出てくると感じるかというと、日本の10代の人間が、それほど複雑な話題で議論をしないことが原因としてある。
哲学が科目として存在する国に比べ、日本は哲学的思考や議論が生活の中で行われない。
倫理という科目があるが、果たして本来の倫理学の一部を、学生に提示できているのだろうか。
考えたことや触れたことのない概念について、思考を巡らせることは難しい。
普段、友達と話をしていて、全然話についていけてない子の存在を感じることはないだろうか。
それは、その子は、その話題について知らないだけであり、頭が悪いとかそういうことではない。
現代文でも同じことが言える。
知っていればすらすらと読めるし、知らなければ読みにくく、誤答も増えるのだ。
全ての話題を網羅するのは難しいが、特に出題頻度が高く、受験生が苦手と感じるジャンルがある。それが哲学分野だ。
「大学受験生は哲学についての知識が浅い」というのは良く知られていることなのだ。
というわけで、大学受験生には以下の本を紹介したい。
本書は、あくまで基礎概念への入り口であるため、より深い理解を得るために、さらに類書を読むことを勧める。
一度は聞いたことのある学論や著名人について、基礎知識をつけることで、哲学が得意分野になることもあるだろう。
古文にもいえることだが、得意ジャンルが増えることで得意科目に転じることもあるので、是非積極的に取り組んでほしい。