大阪府公立高校入試合格への道

現役学習塾長が大阪府公立高校入試や教育について、いろいろ発信します。

公立高校受験が他の受験と違うところ

世の中にはいろいろな受験が存在します。

大学受験、高校受験の他に、検定や国家試験も受験と言えるでしょう。

今回は、大阪の高校受験ではどのような点が特徴的で、他の受験とどういう点が違うのかお話したいと思います。


一般に、どの受験では満点を求められていません。

学校や塾で行う小テストは満点合格しか認められないということもあるでしょうが、多くの受験ではおよそ6~8割が合格基準として設定されています。

高校受験はその点で少し特徴的で、受験する学校ごとに合格最低ラインが違っています。

たとえば、内申点がオール3以下でも進学できる私立高校では、合計で40%を最低ラインとしていたり、偏差値の高い公立高校では70%を超えないと合格できなかったりします。

前者は、学力で合否を決めていないという点が前提としてありますので、おそらく最低ラインを割っていても問題ないケースも存在します。

後者は、単純に偏差値だけではなく、どの種類の問題を選択しているか(A~C問題)によっても変わりますが、基本的にシンプルな得点競争なので、合格者の最低点がおよそその基準になってしまえば仕方ないということです。


どの受験でも言えることですが、頑張ったら頑張った分だけ合格に近づくというものではなく、「入試で評価される得点で合格基準を満たしていれば合格になる」という点を強く認識することは重要だと思っています。

不正に調整(男女の合格基準を秘密裏に変えているなど)されていたり、合格基準が明確でなかったりする場合であっても、認定るする側に合格を認めさせることができれば合格になるわけです。当然と言えば当然ですが、意外にわかっていない中高生が多いようにも思います。

過去問で合格最低点を超えることができれば、ある程度その高校に合格しうる学力を備えていることの証明にはなりますが、確実に合格を保証するような事柄ではなく、あくまで本番で合格になる基準を満たさないと話にならないということを認識することは重要だと思って欲しいのです。


くどくど言いましたが、「〇〇高校に合格するためには、現在の内申点や事前加点要素を考慮すると、入試本番で〇〇点取ればよい」という目安を持つことは重要ですが、その得点をするための努力は、結局得点の取りこぼしを少なくするという取り組みに帰結するわけです。

つまり、大阪公立高校の受験で優先すべきことというのは「入試本番でトータルの点数を1点でも多く取れるような取り組み」ということになります。


そんなのどの受験でも同じじゃないの?と思われるかもしれませんが、そうでもありません。

たとえば、税理士や中小企業診断士の試験では、複数年に渡って科目合格資格を利用することができます。

つまり、時間や学力の状態によっては、捨て科目を作ることが重要で、高校受験より戦略的に取り組むことが必要な場合があります。

このような試験の特徴は、合否が相対的ではなく絶対的になされる傾向にあるということです。つまり、競争の要素が薄いということです。

定員が決まっていて、それ以上の合格者を出さない試験では、その年の受験生の競争で定員以内の順位に入れば合格になるので、相対的に合否が決定すると言えます。

一方で、定員が決まっていない試験の場合は、合格最低ラインを超える受験者を合格にするので、個人の点数のみで評価され絶対的に合否が決定するということです。

前者の場合、競争相手の強弱によって自身が何点取れば合格するかが決まります。つまり、受験の度に基準は変動してしまうのです。


ということは、合格基準の目安を立てることは重要であっても、その基準を突破すれば必ず合格するわけじゃないということもお分かりいただけるかと思います。

この特徴は、「定員以上の合格者を出さない」という受験体系をとっているものすべてに当てはまるものです。たとえば、国公立大学入試も同様のことが言えます。

そうなってくると、やはり大事なのは「1点でも多くとること」になるのは当然のことだと言えると思います。


よく、模試の判定の良し悪しで受験校を変更しようとする人をみかけますが、それは受験の本質を捉えられていないのではないかと思ってしまいます。

今までの功績が評価に関わる就職採用試験などではなく、入試本番の得点次第で合否が決まるタイプの受験では、それまでのテストの結果などどうでもいいのです。

大事なのは、本番で結果を出せるかどうか、それだけです。

模試の志望校判定が悪いということは「あるテストの結果、過去に受験した人の結果と比較すると低めの得点位置にいますよ」ということを示されただけで、受験の合否を予言しているわけではないのです。

結果が良くても悪くても、どのような点で失点したのか、どのような勉強をすれば改善するのか、そもそも入試本番で必要な力がつくような勉強なのかどうかなどを考慮して、勉強のやり方の改善をするだけです。

競争相手の学力を図ったり、現在の自分の学力を確認したりする意味で、模試は受験する価値があると思いますが、それ以上の価値はないということも認識しておくべきことだと思います。