大阪府公立高校入試合格への道

現役学習塾長が大阪府公立高校入試や教育について、いろいろ発信します。

関関同立と産近甲龍を目指すならどんな進学ルートがある?

大学は大きく分けて二種類、すなわち国公立大学と私立大学があります。

進学条件の違いについて簡単に説明すると、前者は受験に使う科目数が多く、校舎は少ない傾向にあります。

そのため、一般的には多科目の勉強を進めなくてはいけない国公立大学進学は難しいとされています。


年間50万人を超える大学受験生の多くは、私立大学に進学します。

関西では、私立大学の難易度のレベルを表すのに「関関同立」や「産近甲龍」といった表現が使われがちです。
(最近は序列変動が起こったり、他の表し方も存在したりします)

関関同立産近甲龍はどこも優秀な大学で進学すればそれなりの学歴評価を得られますが、さて、どのようにすればそのような大学に進学することができるのでしょうか。


中学生の段階では、どの大学を目指すかなどという話にはならないことが多いと思います。

しかし、既に中学生の段階で大学進学を見据えていなければ、進学の難易度は上がることになります。

大学進学では「入試の結果で進学を勝ち取る」ルート(以下①ルート)と「学校の成績で進学を勝ち取る」ルート(以下②ルート)が存在します。

①ルートにもさらに複数パターンがありますが、要は実力があれば進学できるというわけです。

それこそ、大学受験資格さえあれば高校に通わなくても、入試の結果だけで合格するわけです。

一方で、②ルートは学校の評定を上げなければなりません。学校の勉強の成績が良いことで、高校から大学へ推薦できる枠に入れてもらえ、面接や小論文の評価を経て進学を認められます。


ここで、大学進学における高校の役割について考えてみます。

高校は、以下のような、メリットを与えてくれる団体だと思います。

◆同学力帯の子どもを集め、レベル帯に合った学力補強の授業を提供してくれる。

◆学業を通して一定の評価を与え、学校推薦枠を提供してくれる。

人間的成長とかそういった側面もあるとは思いますが、大学進学においては評価基準に関係ないので無視します。


一つ目のメリットについては、高校で勉強を真面目に頑張ったらどのようなレベルに達する子が多いのか、その点に注目しておく必要があります。

たとえば私が運営する塾の周辺では、高校入試基準で偏差値50未満(A群)、偏差値50~60(B群)、偏差値60以上(C群)の高校では次のような違いを感じます。

●A群では三角関数のグラフを描く指導を行わず、B群では理系ではやるが文系ではやらない、C群では漏れなく全クラスやる。

●A群では公募推薦入試に間に合うように理系科目を進めない、B群では選択授業次第で間に合うように授業を組める、C群では当然に間に合うようにカリキュラムが組まれている。

つまり、高校で享受できる指導レベルに大きな差があり、どの高校からでもどの大学に進学できるような指導が行われていないということです。

どの高校でも東大を受験できる指導が行われていないのは当然わかりますが、中堅大学レベルでもそのような違いがあり、高校と大学のレベルギャップによって苦労してきた子ども達を多く見てきました。

そのギャップ自体が必ずしも悪いことだとは思いませんが、「高校の勉強を一生懸命頑張っていたら、高校3年生になってから自分が行きたいと思っていた大学を目指せる学力レベルに達していた」というのが当然理想かなと思いますので、注意が必要です。


二つ目のメリットについては、学校ごとに持っている推薦枠に違いがあり、その枠を狙う前提なのかどうかが重要です。

私が高校生の時は、上位クラスに対してはそのような制度があることは連絡されず、いつの間にか下位クラスが有名大学の推薦枠を取得していました。

3年間の学校の評定をある程度高い基準でキープしなければならないので、高1から頑張らなければならないわけですが、そもそも推薦を狙ってないのであれば学校の勉強は自分の受験に関わる科目を一生懸命やるくらいで問題ないと思います。

中学生までは「学校の授業は真面目に取り組まなければならない」という教えがあったと思いますが、高校以降は絶対的にそれが正しいとは思いません。
なぜなら、学校の先生の評価が進学に影響する割合が低くなってくるからです。

どれだけ真面目に授業を受けていても、実力をつけて得点として結果を出さなければ、進学の権利を得られないわけですので、学校の授業を妄信していてもダメなわけです。

中学校では、高校入試における学校の評定の割合が高い地域が多いので、まさしく学校の授業を真面目に受けて頑張るということが必要になると思います。

さて、話を戻しますが、学校推薦枠を利用して進学を狙う場合、その高校のレベルは、高ければいいというわけではないので注意しましょう。

学校推薦、つまり指定校推薦では「高校の学業においてつけられた評定において、進学希望者の高い者から順番に枠を与えられる」という形が一般的です。

つまり、学校の勉強の成績が良くなければならないのです。

となると、一生懸命難しいレベルの高校に入ったとしても、そこで上位の成績をキープできなければ推薦の恩恵は受けられないということになるわけです。

この場合、自分が余裕を持って合格できる高校に進学しておけば、競争相手は、少なくとも高校入試基準では自分よりも高いレベルの人達が少なくなるわけなので、その後の評定を高くキープできる可能性は上がるわけです。

しかし、ここで注意しておきたいことがあります。


大学進学だけに主眼をおいた場合、たとえば偏差値55くらいの子が偏差値50以下の高校に進学して学年トップを走り、関関同立産近甲龍レベルの推薦枠を取得、進学することはかなりの得策であると言えます。

その一方で、本来の自分の力に合った高校に進学しておけば受けられた指導内容や、伸びたであろう学力をないがしろにしている可能性があることも忘れてはいけません。

先にも書いた通り、同じ科目であっても高校ごとに教える内容が大きく異なります。

そのため、高校生活で学んだ内容にも差が出てきます。つまり、進学先の大学は一緒であっても、高校生活のレベルに差があるため、大学入学後に周りとの学力差を痛感し、苦労する可能性があるということです。


個人的には、大学以降は「自分が学ぶべきだと思うことを学び、深く学業を行ったり社会に還元していく」ことができれば周りとのレベル差なんて気にしなくていいと思いますが、たとえば理系なんかでは、高校時代の学力不足が大学の学業にそのまま直結して影響すると聞きます。
周りが当然に出来ていることが自分には出来ないというギャップに苦労することになるというわけです。


さて、色々と話をしましたがまとめておくと、

①有名私立大学進学には大きく「実力突破型」と「学校推薦型」があり、

②高校では指導内容に差があり、どちらの進学を考えるにしても考慮が必要で、

③能力を上げたいのであれば自分於実力相当もしくは上位の高校へ、推薦枠を得たいのであれば少し易しめの高校に進学するのも一つの手

ということです!


国公立大学進学についてはいずれまた書きたいと思います。