緊急事態宣言とは?塾への影響は?我々の生活はどのように制限される?
東京都知事、大阪府知事と会見が行われ、いよいよ明日7日には緊急事態宣言がなされるとのことで、
学習塾も選択を迫られている状況です。
そもそも緊急事態宣言とは何ぞ?とのことで、まとめています。
- 緊急事態宣言とは
- 住民の外出自粛はどこまで制限を受けるのか?
- 外出自粛の対象外と考えられる行為・活動は?
- 住民の施設利用はどこまで制限されるのか?
- 過去の緊急事態宣言発令事例
- 学習塾が受ける影響について
緊急事態宣言とは
改正新型インフルエンザ等特別措置法(特措法)に基づく「緊急事態宣言」では、実際に首相が「緊急事態宣言」を発令する際には、実施する「期間」「区域」「緊急事態」の概要を示すことになっています。
首相が政府対策本部を設置し、「国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれ」「全国的かつ急速なまん延により国民生活や経済に甚大な影響を及ぼすおそれ」が認められる場合に発令されます。
緊急事態宣言が発令されると、都道府県知事が「休校などの要請・指示」「住民に外出自粛要請」「大規模施設の使用制限の要請・指示、イベントの開催制限や中止の要請・指示」「臨時の医療施設設置のため土地や家屋を使用、医薬品などの売り渡しの要請・収用」などの措置が実施可能となります。
緊急事態宣言が出されると、特措法に基づき、その都道府県の知事にさまざまな権限が与えられます。特措法では「まん延の防止に関する措置」として、知事がその区域の住民に、定められた期間、さまざまな行動を制限するよう要請できます。
ロックダウンと異なり、「要請する」ことや「指示する」ことはできますが、「命令する」ことや従わない者に罰を与えることはできません。つまり、強制力を持たないということです。
住民の外出自粛はどこまで制限を受けるのか?
特措法45条には「外出自粛」という条文が記載されています。
内容は「生活維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないことを『要請』できる。」というものです。
外出自粛については、緊急事態宣言が発令される前であっても、各都道府県の知事によって既に要請されていました。では、緊急事態宣言を発令することで何が変わるというのでしょうか。
それは、「要請」に法的根拠ができるという点で、重大性が国民に伝わりやすくなるということになります。しかしながら、先述したように、要請に応じない人がいても罰則はないため、強制力が乏しいと言わざるを得ません。
日本では国民の自由が守られているため、ロックダウンを行うことができません。だからこそ、国民一人ひとりがこの緊急事態を自覚して、責任ある行動をとるように心がけなければならないのです。
外出自粛の対象外と考えられる行為・活動は?
「生活維持に必要な場合」とは、食品や医薬品などの買い物や医療機関へ受診するなどの理由で外出することが想定されます。
ただし、法令には規定されていないことがたくさんありますので、各個人や事業者が常識的な判断に委ねられているわけです。
例えば、野外で運動する場合も、感染防止の観点からは集団でスポーツを興じるなどの行為は慎むべきだと思われます。
また、企業活動についても全く規定がないため各事業者の判断に委ねられています。結局の所は、住民が生活を維持していくうえで必要となる物・サービスの提供に留めることが常識的な判断となるのではないでしょうか。
住民の施設利用はどこまで制限されるのか?
「施設利用制限:学校など」(同45条と政令)
学校や社会福祉施設などの使用の制限や停止などを要請できる。
これらの施設には、保育所や介護老人保健施設などのほか、大学や専修学校も対象に含まれます。
学校の一斉休校は、既に行われていることから、緊急事態宣言が発動されたことによって、指定された地域の学校は引き続き休校されることが想定されますので、現状と同じ状況が続くと思われます。
ただし、緊急事態宣言で指定されなかった地域の学校運営は、各地域の実情に合わせて各自治体に判断が委ねられると思われます。日本では、完全な都市封鎖・外出禁止措置はとられないため、人の移動は完全には止められません。そのことを考慮して、緊急事態宣言で指定されなかった地域であっても、学校の開校は慎重に対応すべきだと思われます。
「施設利用制限:娯楽施設など」(同45条と政令)
映画や音楽、スポーツ施設などの使用の制限や停止、またはイベント開催の制限や停止などを要請できる。
具体的には、以下のような施設が対象になります。
・劇場や映画館、演芸場
・百貨店やスーパーマーケット
・ホテルや旅館
・体育館や水泳場、ボーリング場
・博物館や美術館、図書館
・キャバレーやナイトクラブ、ダンスホール
・理髪店や質屋、貸衣装屋
・自動車教習所や学習塾
ただし、百貨店やスーパーマーケットについて、食品や医薬品、衛生用品、燃料など医療や生活必需品の売場は対象外になっており、営業することができます。
つまり、市民が生活していくうえで必要な必需品の購入は妨げられることはありませんので、その点は安心できます。
「施設利用制限の指示」(同45条3項)
正当な理由がなく要請に応じないときは、必要があると認めるときに限り、施設管理者らに対して、指示することができる。
また、知事は緊急物資や医薬品などの運送も「要請」「指示」することができます。指示に強制力はありません。ただ自治体が“対象となる施設名などを公表する”ため、一般的には従う施設が多いと思われます。
そうは言っても、半強制的に営業を制限される一方で、経済的損失の補償がされないのであれば、中小企業や個人事業主は窮地に立たされるのは間違いありません。
要請や指示も守らない事業者も出てくるかもしれません。
実効力を高めるためにも、早期に政府が損失補償を決断してくれることを期待するしかありません。
過去の緊急事態宣言発令事例
実は日本で緊急事態宣言が発令されたことは複数回あります。
その主体がGHQだったりする場合もあるのですが、政府が主体となっての発令は2回です。
・1941年12月8日:太平洋戦争開戦
・2011年3月11日(12日):福島第一原子力発電所事故(福島第二原子力発電所)
太平洋戦争と、東日本大震災の際に宣言されたと思うと、今回の新型コロナ感染拡大がいかに重大な事態であるか、実感できますね。
学習塾が受ける影響について
とてつもなく大きなダメージを受けることでしょう。
少なくとも、緊急事態宣言を発令されている都道府県では、自粛していない学習塾は通報されるくらいの勢いで非難がくるでしょうし、
そうせざるを得ない状況であるくらい、コロナウイルスの蔓延を防ぐ努力が求められていると思います。
しかし、人口が密集している地域ほど、学習塾が存在するのもまた事実で、
どれほどの学習塾が、経営できなくなるか予想がつきません。
学習塾はその性質上、短期で売り上げが0になるような崩壊を起こさないことが魅力でもありました。
しかしながら、今回の事態でその魅力はものの見事に、幻想であったと見せつけられたのです。
補償がどこまでなされるか、正直期待できないでしょう。
しかし、私教育が今後一切求められなくなるわけではないですし、むしろ、その必要性は今回、重々感じていただけたように思います。
耐えしのぐことはとてもつらいことです。
でも、その先にはまた素敵な未来が待っていることを信じて、今を過ごすしかないのではないでしょうか。
東京都が政府の緊急事態宣言を想定し、新型コロナウイルス特措法に基づく休業の要請を映画館や商業施設、学習塾などを含む幅広い業種に出す方向で検討に入ったことが6日、関係者への取材で分かった。感染源の可能性が指摘され、既に客の入店自粛を呼び掛けているナイトクラブやバーなどには特に強く休業を求める見通し。(4/6 日刊スポーツ記事より)