大阪府公立高校入試合格への道

現役学習塾長が大阪府公立高校入試や教育について、いろいろ発信します。

中3が夏休みにやるべきこと

塾に通われていない方という前提でお話します。
まとまった勉強時間が取れる夏休みの学習はとても貴重で、戦略を立てて取り組みたいものです。

具体的には「今までに習ったことを2周する」くらいの感覚で復習に取り組みましょう。
よくある復習教材は1〜2年の内容全部で80ページくらいで構成されています。
通常、50分ほど集中して取り組めば3〜4ページ進めることができるので、20〜27時間で終了します。

5科目をやると仮定すると100〜135時間必要になります。
1日6時間の勉強時間がとれたとして、17〜23日ほどで終わります。夏休みの頭から取り組むとすれば、夏休み終了の1週間前には復習の1周目が終わる計算です。

その後、一度解いた問題で、わからなかったところの解き直しをするのですが、ここにきちんとできるかどうかで学力UPの度合いが変わってきます。
よく間違えるところ、整理できていないところを潰していく作業になりますが、もちろんできていたところをそのまま維持する勉強もしたいので、まとめテストなどを進めながら弱点補強をします。

夏休み明けに実力テストがある中学は多いので、そこで結果が出るように照準を合わせます。
しかし、夏休みの頑張り程度では結果は出ません。
それでいいのです。

もし同じことを冬にやるとしたら、もっと早く学習が進められるでしょう。
大事なのは「やっていないところを作らない」ことです。
1日あたり25ページ進められたら1ヶ月もかからず復習が終わることを覚えておきましょう!

英語B問題の取り組み方

もう1ヶ月もしないうちに公立入試の本番ですね。

今回は英語B問題の特徴と、その取り組み方についてお話したいと思います。

もちろんC問題の方が絶望的に難しいんだけれども、選択肢問題の多いC問題に比べ、記述しなければならないB問題の方が嫌いな人は多いかもしれません。

しかも、その記述も分詞を含んでいたりとそう簡単でもないので、ちょっとした理解不足で大失点に繋がることもあります。

そんな中、英作文は安定した得点ポイントと言えると思います。30単語の英作文では、およそ3〜5文を目安に書く必要があります。そこでしっかりと得点するためには、ミスなく、簡単な文を書けるようにしておくことが大事です。

分詞や比較、関係代名詞がわからなくても、英作文で満点を取ることは可能です。なぜなら、そのような文法を使わなくても、言いたいことを伝える方法があるからです。

しかし、せめて主語→動詞→目的語の並びがわかるような英語力はなくてはなりません。また、冠詞やsのつけ忘れにも気をつけてください。
そういう小さいミスを回避できれば、短い文を接続語を使って繋いでいけば失点を防ぐことができます。


また、国語の作文でも言えることですか、自分が思ったことをそのまま書かないようにすることが大事です。例えば「大阪城」について書こうと思った時に、castleという単語が書けないと気付いたとします。その場合、無理せず違う物で作文できないか考えるのです。
例えば好きな季節は何かと聞かれれば、夏で、毎年家族と海に行くというでっちあげをしても問題ないのです。なぜなら、聞かれてることに対して間違った答えをしていないからです。

技術系の問題ではとにかく失点事由を作らないことが大事です。
この他には、漢字指定でない場合、全てひらがなで書くことも有効です。無理に漢字にこだわらず、得点を拾いにいける解答を心がけましょう。

話が少しずれましたが、英語B問題については英作文の確保が重要ということです。あとは内容把握の問題対策としては英単語の暗記(ただし、英語を見て日本語の意味がわかればよい)や、長文読解演習が今の時期は有効です。

文法の記述問題は、難しい問題は普通に難しいので、そこでとるよりも内容把握と英作文とリスニングで7割を目指すといいでしょう。なぜ7割かというと、英語B問題採択の高校の合格ライン基準が最大7割だからです。
つまり、偏差値50〜55くらいの高校であれば半分取れればまずまずなので、文法問題全捨てでも他がとれれば十分といったことになります。

難易度的に英語の難しい問題を解く勉強よりは、英語は狙いを絞って最低限の対策をし、他の科目の向上に時間を割くことが有効だと思います。

大阪公立高校入試 直前期戦略まとめ

中学3年生は2学期の定期テストが終わり、内申点もほぼ決まっている状態になりました。
学校の定期テストを頑張る意義は
①入試のための基礎固めを兼ねた勉強
内申点確保のための要素
に分けられると思いますが、年明け以降のテストでは②の意味が薄くなると思われます。

さて、現行の大阪公立高校入試では内申450点(中1~中3を1:1:3として、5段階評価×10倍×9科目)と入試本番の点数450点(90点×5科目)をベースとして競争し、ボーダーゾーンという仕組みがあるにしろ、基本的には総合点の高い順に合格という制度になっています。

各高校が国語・数学・英語について3段階のレベルに分かれているもののどれを採択するか、また、内申点と入試本番の得点の傾斜のどれを採択するかによって戦略が変わりますが、現時点で、内申点という入試前の持ち点がおよそ決まった状態だということを理解しておきましょう。


さて、それではこの12月半ばから3月10日までにやるべきことをざっとまとめておきたいと思います。まず、レベル帯によってそれぞれ何を考えるかについて述べたいと思います。

①偏差値45までの学校を受ける場合
A問題を採択、若しくはB問題を採択していても、例年20人程度しか不合格者が出ない高校を受験する人に向けての戦略をお話します。
まず、英語の得点は皆高くないので、受験勉強としての英語は後回しにしていいです。
これは、英語を全く勉強しなくていいというわけではなくて、高校入学後のことを考えると中2の基本までの復習はしておいた方がいいとは思いますが、偏差値45くらいまでの子がB問題の長文2題、英作文1題をしっかり取れるように準備できるなら、もう少し高いレベルを目指しているはずということです。
というのも、高校入試の5科目は平等の難易度ではないのです。
たとえば、成績が良くない子が勉強をしていないのになんとなく数学や国語で点数をとれてしまうなんてことがありますよね。このように、あまり勉強をしていなくても取りやすい科目とそうでない科目があるわけです。
そして、英語は5科目の中でも何となく取れるようになる出題のされ方はしていません。

1つのスペルミスや順番のミスで0点になる小問が数多くあり、勉強が苦手な子にとってはかなり難しいと感じられると思います。ですので、偏差値が高くない高校の受験生は皆同じくらいの点数になると予想されます。

一方、社会や国語の漢字、数学の計算は差が付きやすいので要注意です。
つまり、多少勉強が苦手であっても「練習の積み重ね」「慎重さ」「集中力」など努力によってすぐに得点になりやすいポイントは、やる子とやらない子で大きな差として現れます。
実力テストや模試で「数学・英語が良い点数」タイプと「国語・社会が良い点数」タイプでは、「国語・社会が良い点数」タイプの方が高くない偏差値帯の受験には向いていると言えます。
難問は取れずともよく、コツコツ積み重ねた努力によって基本問題が取れるようになっていることが最重要といえるわけです。

○まとめ○
偏差値45までの学校を目指すなら暗記系・計算系の勉強に力を入れていこう!

②偏差値45~60の学校を受ける場合
目安としてはB問題採択、若しくは一部の問題だけC問題を採択している高校までのレベルを受験する場合についてです。
おすすめは、2月までは理科・社会の暗記の復習に時間をあてるということです。

大阪公立高校入試の入試問題の特徴として、理科は「問題文がとても長い」、社会は「資料読み取りが多く、時系列問題を出されるが基本的な問題が多い」ということが挙げられます。
実際に、全体の平均点では例年理科の方が社会よりも5~10点ほど低くなっていて、社会はとりやすく理科がとりにくいという印象があります。

理科は問題文が長く、およそ半分で計算要素が入っているため、理科の計算に苦手意識を持っている人はとても難しいと感じると思います。しかし、問題文が長いとはいえ、用語についての問題の難易度は高くなく、同じような実験で聞いたことのある指示薬や物質の名前を書くと合っているということもありえるレベルなので、一問一答問題集などを利用して、「どの言葉とどの用語が一緒に使われるか」知っておくと良いと思います。
たとえば、【時代についての化石は示準化石】【小腸といえば柔毛】なんていう雑な覚え方でもいいでしょう。

社会は、地理歴史の基本があやふやな人は教科書を読むところからしっかりと時間をとった方がいいと思います。たとえば偏差値60くらいの高校を受けるのは、学校の実力テストでは300~350くらいとれる子が多いと思いますが、その子達の一番の弱点は暗記だと言えます。
数学で難しい問題が解ける天才肌の子の数学80点と、コツコツ時間をかけて暗記をした努力型の子の社会80点は、入試で同じ得点価値を持ちます。たくさん勉強をしても数学や英語で圧倒的な差をつけることができないということはあると思いますが、社会は努力によって点数をグングン上げやすいため、努力していない子とはっきり差をつけることができるので、数学や英語の差なんて余裕で補えてしまうわけです。

「でも皆も社会や理科の暗記を徹底するかも・・・」と思うかもしれませんが、偏差値60くらいまでなら徹底していない人も大半です。自分に甘い才能型の子や、理科社会よりも難しそうな英語数学に時間を割き続けている子が多いはずです。
極端に言い切ってしまえば、今までの模試で志望校判定がCくらい出ているのであれば、これからの勉強を全部理科社会に振っても問題ないと思います。それくらい、理科社会の得点のしやすさは英語数学と違って楽なのです!
ちなみに国語は漢字や過去問はやるべきだと思いますが、大体みんな50~70くらいになるはずなので、差をつけやすいというわけではありません。

○まとめ○
偏差値45~60くらいの高校を受験する場合は、少なくとも冬休み終わりまでは理科社会の復習に全振りしよう!

③偏差値60以上の高校を受験する場合
C問題採択の学校を受ける子についてアドバイスです。
このレベル帯は基本的に学校の内申点がオール5がほとんどであり、また、入試:内申=7:3としている学校が多いため、いくら内申点がよくても全く有利とは言えません。オール5でも落ちることはざらにあります。
つまり、「入試本番で落ちる側に回らない点数を5科目総合でどれだけ確保できるか」という点に集中して考えるべきです。

大阪トップ校(文理設定のある10校など)とそれ以外では目標点数割合に5%強ほど差があります。本番で75%でいいのか、80%でいいのか、ということを考えていくことになります。

30点を40点に上げることよりも、80点を90点に上げることの方が難しいのは、多くの人が理解できると思います。この世の中にあるどのテストでも、各問題において受験生の正答率が一律で同じということはあり得ません。
ここまでの偏差値帯であれば、たとえば全体の正答率が30%くらいまでの問題をとればいいという感覚でよかった、つまり、難しい問題は捨てても、競争相手も大体解けていないので合格に影響はないという感覚でしたが、上位校受験ではそういうことにはなりません。

基本問題が解けるのは超最低条件であり、見たことのある難しい問題が解けるのもできなくてはいけないことであり、見たことのない難しい問題でもいくつかは解けなくてはいけないということが求められるのです。
C問題である国語・数学・英語ですが、この中で一番得点しやすいのは国語だと思います。
もちろん、数学が大好き、英語を小さい頃から習っているという子はこの限りではありませんが、特別な特徴のない多くの子にとってまだ太刀打ちできる見込みがあるのは国語でしょう。国語から始め、他2科目の特徴と対策について述べたいと思います。

・C問題国語の特徴
B問題や他の入試、模試との違いは何と言っても記述問題のボリュームです。70字程度の記述が3問ほど出ることに加え、作文問題も「好きな季節についてエピソードも踏まえて述べなさい」のような思いつきやすいものではなく、どのように何を書くか考える時間を設けなくては思いつかないようなテーマが出題されます。
また、当然に文章中の言葉や古文のレベルも難しく、「今までで一番面倒くさい国語のテスト」と思うに違いありません。
しかし、粘り強く読むこと、そして時間をかければ、ある程度勉強ができる子であれば答えっぽいものを組み立てることはできるはずです。
あとは制限時間の問題となります。たくさん読み、難しい言葉にも翻弄されず、長い記述をスムーズに組み立て、作文も仕上げる・・・といった、適切な問題処理能力が問われていると言えるでしょう。

・C問題数学について
C問題数学はおよそですが、「小問集合、関数、平面図形、空間図形」といった感じの問題構成です。小問集合では整数問題が記述問題として出題され、これは学校の授業でも単元として扱うことがなく、特別な練習を積まなければ対応できるわけもない問題となっています。また、後半の図形の2題はそれぞれかなりの難易度を誇り、相似や三平方の応用問題を解けるようになった前提で、さらに問題傾向に合わせた特訓がなければ全く解けずに終わるということもあり得る問題です。
最近は問題が多くの学習塾によって対策が行われるようになったため平均点が上がっていますが、C問題が採用されるようになった当初は全体の平均点が30点前後ということもあった恐ろしい科目です。
ちょっとやそっとの努力では手も足も出ずに50%を切るということが平気で起こりうる科目なので、要注意だと言えます。

・C問題英語について
C問題英語は、英検2級以上を取得していると得点読み換えができるという制度があり、2級取得者は80%の得点が保証されます。この制度自体を知らずに3年生になる子もいるようですが、英検2級となると高校卒業程度の学力が必要と言われますので、相当の準備が必要であり、中3になってからでの取得は難しいケースが多いでしょう。
入試本番8割と英検2級取得では、難易度的にもチャレンジ回数的にも英検2級取得の方が圧倒的に楽です。実際に受験経験者が口を揃えて言っています。
そのため、まずは早期の英検2級取得を目指すことをおすすめします。

しかしながら、英検2級をとれなかった子、また、その80%保証でも心もとないレベルの争いとなる最上位校狙いの子は、やはり本番での高得点を狙うことになります。

C問題英語の最大の特徴は「筆記30分、リスニング25分」という非常にアンバランスな時間制限です。
筆記では英作文以外は記号選択形式ですが、問題文はすべて英語、恐ろしいほど膨大な量で、英作文もかなり難しいものとなっています。初めてC問題を解いた子は全員が面食らうことになります。学校の実力テストでいくらいい点数をとれていても、それとは全く異なる能力を鍛えなければいけません。
具体的には、多読・速読力、そして自分の意見を的確に伝える英作文力です。
ヒントの多い文法問題や、時間に余裕のある長文問題を解くのではなく、全力で解き進めても時間が足りないという極限の状況下で丁寧な英作文を仕上げなければなりません。

リスニングは全体の3分の1を占める配点ですが、これも速くそれなりに難しく、そして最後の英作文問題は筆記同様に、学校の実力テストのレベルを大きく超えた内容となっています。初めから英作文をすべて捨てる前提で取り組んでいた子もいたくらいです。
最上位校狙いの子はそう行きませんが、C問題採択の最下位校では、他科目の得点を考慮すればアリかもしれません。
それほどに、C問題3科目の中で圧倒的な難しさを誇ると言えます。


以上がC問題の特徴になります。
このC問題と理科社会の平均得点率でおよそ70%を超えなければ、C問題採択校の合格は厳しいものになります。

さて、それではどのような対策がとれるでしょうか。

くりかえしになりますが、大阪公立高校入試では理科社会は受験校によって問題の種類が異なるということはなく、理科社会の問題の難易度が圧倒的に低いです。
そのため、やはり上位校を目指す場合でも、理社の満点狙いが必須です。

理科社会の得点の貯金をもってして、合格最低ラインを超えるために「国語、数学、英語のどの科目で何点まで落としていいか」逆算することが大事だと思います。

たとえば、過去問でC問題を1年分解いてみたところ、国語と数学で頑張れそうと思った場合、まずは国語と数学の勉強量をめちゃくちゃ増やしていきます。
具体的には、過去5年分のC問題を解き、市販で売られている対策本や塾でもらえる対策問題集を片っ端から解きます。
そして、解説をよく読み、解き方・考え方をよく理解するように努力します。
どの科目もそうですが、「問題を読む➡解く方針が思いつく➡ミスしないように解く」という処理ができるのがベストで、解く方針が思いつかない問題でも「問題を読む➡よくわからないのでわかることを書きこんでみたり補助線を引いてみたりする➡わかることが増えてきて解き方が見えてくる➡ミスしないように解く」という流れで進められるかが大事です。

その力をつけるためには、難しい問題の解き始めやポイントを多く覚えておく必要があります。たとえば例を挙げると、「空間図形の問題は平面で捉えなおす」とか「整数問題では具体的な数を入れてみる」とかです。
そんなことは学校の勉強レベルではやらないことです。
今まで学校のテストで良い点数をとってきている子でも、このような取り組みは経験して来ていないわけですから、修行のような時間をとって取り組むしかありません。

今の時期に、そのような勉強ができていない子は、今日からすぐに始めるべきだと思います。

また、例として国語・数学でとろうということを書きましたが、現実的にその作戦がいいと思っています。先にも書いた通り、英語の高得点狙いは絶望的に難しく、英作文は2月後半に取り組むべきであって、まずは速読力を上げて処理能力の向上に努めます。今から英語の高得点狙いを追っていくことは危険すぎると思います。
2月後半時点で、他の科目が比較的安定していれば、毎日英語に全力を注ぎ70%を超えることを目標にしていく・・・というのが良いでしょう。

○まとめ○
C問題採択上位校を目指す場合、「理社の満点狙い」「国語数学の過去問演習と似たような問題が載っている問題集を急ぎつつ丁寧に進める」「2月後半に4科目が安定していれば英語に力を注いで底上げをする」という流れで進める!



全体を通して共通点は「暗記系、理社の重要性を意識する」ということでしょうか。
難しい問題を解けることが大事なのではなく、教科書や参考書に載っていることを多く知り、知っていれば解ける問題をこぼさず取り切るということが大事なのは、どのテストでも同じことだと思います。
正直、大学入試よりも高校入試の方がシビアな側面があり辟易する部分もあるというのが個人的な意見ですが、自身が3年間過ごす環境を自分の努力で勝ち取るというチャレンジとしては、これくらいシビアな方がいいのかもしれませんね。

ご意見、ご質問はお気軽にご連絡ください。

暗記の心得

中高生が勉強している中で、一番の悩みと言っても過言ではないのが「暗記できない」ということです。

興味がなくて勉強する気にならない
という場合は置いておくとして、

読んでもなかなか覚えられない。
覚えられた気がしない。
全然進まない。

この3つが暗記に対する三大不満と言えます。今回は、この3つを中心とした暗記の悩みへの解決法についてお話したいと思います。
マイナスなイメージがある暗記という勉強ですが、これは子どもに限ったことではなく、大人も暗記で困ることは多いですよね。
たとえば、仕事でプレゼンをする時にはいちいちカンペを見ていては説得力に欠けるので、なるべく見ないように、話す内容を「暗記」してから臨みますね。
保護者代表でスピーチをすることもあるかもしれません。そんな時も「暗記」が必要です。
ちょっと買い物をする時だって、メモがなく、買うものを「暗記」しなくてはいけないかもしれません。
このように、暗記というのは勉強に限らず、色々な場面で登場する頭の使い方の一つです。


私が思う「暗記できない」という悩みへの対処法は、まず、暗記するということを捉え直すことから始めるというものです。

子ども達は大体、「覚えなくてはいけないであろうことを覚えよう」とするのですが、いったい「どの状態になったら覚えている」ことになるのか、わかっていない場合が多いです。

大人は結果を求められる場面で暗記することが多いのでわかっていると思いますが、「必要な場面で再現」できればそれは暗記した価値があることになります。

使う場面を想像できる場合、そのことをイメージすると、どこまで、どの程度暗記しなくてはならないかわかってきます。

そして、実際に使っている場面を想像しながら暗記の勉強をすると、ある一つの行動が出てくるわけです。

それはつまり、「こまめな再現」です。

たとえば赤シートを使って覚えようとしている子をみると、赤シートで隠さず覚えたものを、赤シートで隠した後に正しく言えるかどうか確認していることが多いです。

これが再現です。
テストの時には、その精度に差はあれど、再現できればいいのですから、覚えたものを自分の頭の中に入っているデータを根拠に再現できれば、それは一つ暗記が出来ていることになっているわけです。

子ども達が暗記の勉強をする時は、この再現のイメージが共有できているかどうかで、かけた時間のわりに覚えられているかどうかが変わってくるように思います。

さて、それでは、冒頭に書いた通り、3つの悩みについてそれぞれお答えしていこうと思います。


① 読んでもなかなか覚えられない。
読んでもなかなか覚えられないというのは、暗記の難しさを軽んじているから出てくる発言だと思っています。
そもそも、自分が知らなかったり興味がなかったりすることを、自分の頭の中にいれて、いつでも外に出せるようにするというのは相当大変なことです。
元々少し知っていたり興味があることに関してはスルスルと頭に入っていくのは、暗記の特徴の一つだと思います。
そもそも、相当の時間がかかることが前提の作業ですので、根気強く取り組むしかありません。
なかなか覚えられない場合、書いたり、声に出したり、クイズにしてもらったり、いろいろなやり方で内容と結びつきを強めていき、なんとか覚えられるまでやるしかないということになります。

② 覚えられた気がしない。
暗記したことが覚えられたかどうかというのは、再現できるかどうか試してみるしかありません。
本当に覚えたかどうかは、使ってみるまで誰もわからないのです。
良い確認の仕方は、一問一答や単語テストを解いてみて、できるかどうかを確認してみることです。
また、表や図などを全て覚えないといけない場合は、白紙を用意して、覚えたことを全て書けるか試してみることも有効です。
確認作業は難しいと感じられると思いますが、できなくても問題ありません。
覚えたことを使おうと頭を働かせることに価値があるからです。
できなかった場合、書けなかった部分をもう一度覚えなおして、再度チャレンジしてみましょう。

③ 全然進まない。
先ほどのお話とも重なりますが、暗記にはどうしてもそれなりの時間が必要となります。
確認作業を行って、きちんと覚えるために必要な時間は人それぞれ異なります。しかし、その作業を踏むことでしか、覚えることはできないのです。
定期テスト前など、時間制限がある場合は、いつまでにどこまで覚えなくてはいけないか計算をして、その後に一日あたり、一時間あたりと覚える量を決めていくことが有効だと思います。
進まなくて不安である時は、見通しをたてて取り組んでいくとストレスが減るように思います。


最後に、記憶の性質を利用した暗記のコツをいくつかご紹介しておきます。

・なるべく接触回数を増やす
たとえば、1時間かけて100個の単語を覚えきったと言い張っても、初めて覚えたことは忘れていく速さもはやいと言われています。
そのような時間の使い方をするなら、10分で100個の単語をザっと確認する作業を6日間続けた方が、最終的な定着量は多いはずです。
ただし、あまりにも暗記の時間を短くしてしまうと、それはそれで全く定着せず記憶にならないので、あまり時間をかけすぎずにたくさんのことを繰り返し覚えようとする、という意識で勉強するのがいいでしょう。

・7個ずつで覚えてみる
単語などを人が一度に覚えられる適正量は7個だそうです。もちろん個人差はあり、もっと多い人も少ない人もいるとは思いますが、7個前後をひとまとめにして覚えていくのはいい分量感だと思います。7個覚えたら次の7個を覚える、という

また、暗記するときには「何個おぼえたか」を意識するといいと思います。
たとえば、は虫類の代表的な動物を「ヤモリ、カメ、ワニ、ヘビ」と覚えたとすると、思い出そうとしたときに4つ言えなければダメということも合わせて覚えておきます。4つ言えない限り、絶対に覚えられていないということになるので、思い出すまで考えることができます。
これは、いろいろな暗記に活用できる方法です。

・暇なときに思い出してみる
たとえばお風呂に入っている時、歯磨きをしている時、寝る前など、思い出さなければいけないことにして、今日何を覚えたか、頭の中で思い出してみるのは効果的な方法だと思います。
とにかく、「何もヒントがないところから情報を再現できる」ようになることが重要なので、別に紙やペンや覚えるものがなくても、再現をやってみることでいつでも暗記の勉強はできるのです。むしろ「あれー、思い出せない、なんだったっけ?」となる方が、強く記憶に残り、定着が進むように思います。

・平等ではなく、覚えにくいものはしつこく覚える
たとえば100個の単語を暗記するとき、必ず、簡単に覚えられる単語となかなか覚えられない単語があるはずです。
簡単に覚えられるものは、今までに聞いたことがあったり、なんとなく覚えやすかったりするもので、すぐに再現できるレベルになります。
一方、覚えられないものは、全然再現できなかったり、何回覚えてもすぐに抜けてしまったり、自分と相性の悪いものです。
そのような場合、覚えられないものに暗記時間を偏らせていくことは有効な手段と言えます。
よく生徒に例えるのですが、墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいのほう)という言葉は、初めて聞いた時は長くて覚えにくいものだと思うはずですが、誰かに10回連続で言葉と意味の説明をされると、さすがに響きと意味を覚えてしまいます。
つまり大事なのは、覚えにくいのは自分との縁(結びつき)が弱いためであり、無理矢理自分との結びつきを強くする試みをすれば、嫌でも覚えていってしまうということなのです。
意図的に結びつけないといけない理由は、その言葉を覚えなくてはいけないから、ということでしかありません。
本来、自分が嫌いなものや苦手なものは本能的に避けようとするのは、暗記でも同じことのような気がします。
興味がなかったりよくわからないものは、全然定着しないのです。
それでも、勉強ではどうしても覚えなくてはいけないことが出てくるため、本能に反する工夫が必要になるのです。
本能に反するため、やっているときは全然面白くないと思います。
それでも、自分が覚えられないと思ったものが覚えられるようになるわけですから、やってみる価値は十分にあると思ってください。


久しぶりの投稿なのにだいぶ長くなってしまいましたが、勉強で悩んでいる高校受験生に参考にしていただけると幸いです。

受験よりも大切なこと

高校受験で合格を目指すことはほとんどの場合が良いことだと思いますし、その目標を達成しようとしている子ども達の熱意を下げようという気はさらさらないのですが、高校受験の結果というのは、本当の進学先を決めるための場所を決めるための抽選でしかないと思っています。

その抽選の積み重ねによって、自身が過ごす環境が分岐していき、それに応じた価値観や学歴・職歴が形成されていくのでしょう。

しかし、優秀な学校に進学したから大成功、落ちたから大失敗というわけではないのです。


仕事やスポーツなど、あらゆる分野のことでも言えることだと思いますが、「コミュニケーションをとって行動できる、しかもなるべく早く」というやつがチャンスを活かしがちで、自分で道を切り拓いていきがちだと思っています。

勉強は、本当にあくまでツールでしかなく、進学先は、あくまで環境でしかないです。

その先の自分がどうありたいか、そして実際に考えた通りに行動できるかということが肝になっていて、それが完璧でなくとも出来ている人は、正直高校受験や大学受験で志望校に行けなかったとしてもある程度安心だと思うわけです。

もちろん、人にはそれぞれ価値観があり、自分が所属する集団の中で良しとされない結果となるのは気まずかったりきまりが悪かったりするケースもあり、人によっては無視できないレベルでメンタルがやられることもあるので、安心というのは一意見ですが。

僕は子ども達に、自分の弱いところもいいところもある程度わかった上で、自分も頑張っていいと誇れるような大人になって欲しいと思っています。


今、受験シーズン真っただ中でいろいろと考え悩む中高生が多いと思いますが、そうやって悩んでよかったと思える日がきますので、今はしんどいと思いますが精一杯取り組んでほしいと思います。受験の結果の良し悪しで決まることは人生レベルで考えるとそれほど大したことではありませんので。